議事録、日報、引き継ぎ資料、タスク管理。
どれも面倒で、どれも後回しになります。そして後回しにした結果、あとで何倍もの時間を払わされる。
- *この4つは別々の作業に見えて、まったく同じ原則で動いています。** その原則さえ押さえれば、全部が軽くなります。
IT業界に20年以上いて、40代でコンサルに移ってから、この手の文書に費やす時間をかなり削りました。この記事では、共通する4つの原則をまとめます。個別のやり方は詳しい記事に分けてあります。
原則1:速さは完成度より価値がある
一番大事なのがこれです。
僕は以前、議事録を「きれいな文書」だと思っていました。丁寧に整えて、配布が2日遅れて、上司に「意味がない」と突き返されたことがあります。
- *内容は正確でした。それでも意味がなかった。**
実務ドキュメントの価値は、中身が届くタイミングで決まります。会議の記憶が鮮明なうちに配られる粗いメモは、2日後に届く完璧な文書より役に立つ。
日報も同じです。その日のうちに出ない日報は、ただの作業記録になります。
だから判断はいつも「もっと良くするか、今出すか」ではなく、「今出す。良くするのは次回」です。
詳しくは議事録は「きれいさ」より速さに書きました。
原則2:正しさは文章ではなく合意で担保する
「正確に書かなければ意味がない」と思うと、手が止まります。
ですが、文章だけで正確さを完全に保証するのは無理です。書き手がどれだけ気をつけても、読み手の解釈は揺れます。
代わりに使えるのが、合意で担保するという考え方です。
会議の最後に決定事項を口頭で確認する。曖昧な点はその場で聞き直す。配布したら目を通してもらう。
この手順を踏めば、「表現は粗いが、正しく合意された記録」が残ります。
- *文体を磨くより、確認の一往復を入れるほうが確実です。** そしてそのほうが速い。
同じ話は指示の出し方にも当てはまります。曖昧な言葉を残したまま渡すと、必ず自分に返ってきます(「すぐやります」が信用できない理由)。
原則3:誰に届けるかを先に決める
意外と見落とされるのが、宛先です。
議事録の送付先を後から迷って配布が遅れる。日報を全員に送って誰にも読まれない。引き継ぎ資料を誰向けに書くか決めないまま網羅してしまう。
- *全部、宛先を決めていないことが原因です。**
会議を招集する時点で「議事録は誰に回すか」を決めておく。日報の送り先は2〜3人に絞る。引き継ぎは後任1人に向けて書く。
宛先が決まると、書く内容も量も自動的に決まります。迷いが消えるぶん、速くなります。
日報を「頼まれていない相手に送る」という運用が効くのも、この原則からです。詳しくは日報の書き方に書きました。
原則4:AIに渡す前提で、雑に書き殴る
ここは最近になって変わった部分です。
以前は、メモの段階からある程度整えて書いていました。あとで清書するのが面倒だからです。
今は逆です。形式を一切気にせず書き殴って、整理はAIにやらせます。
思いついた瞬間に構造化しようとすると、手が止まります。止まると書かなくなる。書かなくなると、あとで思い出す作業が発生する。
入り口を可能な限り軽くして、整形は後工程に回す。これで実務ドキュメント全体の負荷がはっきり下がりました。
運用の実際はタスク管理はツールを変えても続かないにまとめています。
ただし、判断だけはAIに渡しません。 何を優先するか、何を捨てるかは自分で決める。整理と判断は別の仕事です(AIに丸投げすると退化するのか)。
網羅しようとすると、全部が無駄になる
4つの原則に共通しているのは、削る方向に働くことです。
速く出すために削る。合意で担保するから書き込まない。宛先を絞るから量が減る。雑に書くから構造化しない。
逆に、網羅しようとした文書はだいたい読まれません。30ページの引き継ぎ資料が典型です。誰も最後まで読まないと分かっていて、それでも作ってしまう。
引き継ぎが無駄に感じるのは、この構造のせいです(引き継ぎ資料が無駄に感じる人へ)。
まとめ|実務ドキュメントは軽くしていい
速さは完成度より価値がある。
正しさは文章ではなく合意で担保する。
誰に届けるかを先に決める。
雑に書き殴って、整形はAIに回す。
この4つを守るだけで、議事録も日報も引き継ぎも、かける時間が半分以下になります。そして質はむしろ上がります。読まれるようになるからです。
丁寧に作った文書が読まれなかった経験、ありませんか。それは丁寧さが足りなかったのではなく、丁寧すぎたのかもしれません。

