「即戦力として期待しています」
入社初日に、こう言われた人は多いと思います。言う側に悪気はありません。むしろ歓迎の言葉のつもりです。
ですが見てきた範囲では、即戦力を強く求める職場ほど、中途採用がうまくいっていませんでした。
理由を書きます。受け入れる側の話です。
「即戦力」が意味しているのは、たいてい「説明しなくていい人」
即戦力という言葉は便利ですが、中身が曖昧です。
実際に期待されているのは何か。分解すると、こうなります。
- *教える手間をかけずに、すぐ成果を出してほしい。**
つまり「戦力」への期待というより、「教育コストをかけたくない」という願望です。
ここが出発点になると、受け入れ体制が作られません。経緯の説明も、裁量の付与も、評価の保留期間も、全部「本人がなんとかするもの」として省略されます。
そして数ヶ月後に「思ったより使えない」という話になる。
中途採用が潰れる職場の4つの特徴
1. 何ができるか測る場を作らない
一番多いパターンです。
任せないから測れない。測れないから任せられない。この循環が数ヶ月続くと、本人の実績はゼロのまま評価の時期が来ます。
- *測れないことを、能力がないことと混同している**んですよね。
新卒には「何もできない前提」があるのに、中途にはそれがない。経歴書に立派なことが書いてあるぶん、期待だけが先行します。
2. 経緯を誰も教えない
今のやり方には、たいてい理由があります。過去に失敗して、その形に落ち着いた。
その経緯を誰も説明しないと、中途は「非効率なやり方」としか見えません。だから改善提案をする。すると「前職のやり方を持ち込む扱いづらい人」になります。
- *経緯を教えないまま「扱いづらい」と評価するのは、順番が逆です。**(中途採用が「扱いづらい」と言われる理由)
3. 評価の保留期間を言葉にしない
「最初の3ヶ月は成果を求めない。経緯と人間関係を覚えてほしい」
これを明示する職場は、驚くほど少ないです。
言葉にされないと、本人は焦ります。焦ると早く成果を出そうとして、大きな提案に走る。大きな提案は前職の話になりやすい。そして「扱いづらい」に戻ります。
- *たった一言、期間を区切るだけで防げます。**
4. 仕事は集中させるのに、権限は渡さない
これは中途に限りませんが、中途では特に起きます。
できると分かった瞬間に仕事が集中する。ただし役職も裁量も付いてこない。責任だけが増えて、決める権限は別の人が持ったまま。
この状態が続くと、優秀な人ほど早く見切りをつけます(優秀な人から辞めていく職場に共通すること)。
逆に、うまくいっている職場がやっていること
シンプルです。小さく、早く、任せる。
規模は問いません。この範囲は本人が決めていい、という線を最初の1ヶ月で引く。
そうすると測れます。測れると振れます。振れると実績が出ます。実績が出ると、周りの見方が変わります。
- *受け入れ側の仕事は、教えることではなく「測れる場を作ること」**なんだと思っています。
もうひとつは、分からないと言える空気を作ること。
中途は「経験者として見られている」ぶん、質問しづらい立場にいます。ここで詰まると、覚えるのが遅れて全部が後ろにずれます。
受け入れ側から「分からないことは聞いてほしい」と先に言うだけで、かなり変わります。
「使えない中途」は、たいてい環境とセット
最後に、少し厳しい話を書きます。
同じ人が、ある職場では戦力にならず、別の職場では中心人物になる。これはよく見る光景です。
つまり「使えない中途」という評価は、その人単体の性質ではなく、環境との組み合わせで生まれています。
もちろん本人側にできることもあります。それは中途採用で馴染めないのは3ヶ月目までに書きました。
ただ、受け入れ側が「即戦力なんだから自分でなんとかしろ」と構えている限り、誰が来ても同じ結果になります。採用の失敗ではなく、受け入れの失敗です。
まとめ
「即戦力」への期待は、実質「教育コストをかけたくない」になりやすい。
測る場を作らない、経緯を教えない、保留期間を示さない、権限を渡さない。この4つが中途を潰す。
うまくいく職場は、小さく早く任せて、測れる状態を先に作っている。
「使えない中途」は本人の性質ではなく、環境との組み合わせで生まれる。
あなたの職場に来た中途の人は、入社1ヶ月で何かを自分で決められましたか。
