「今の会社から逃げるだけじゃないのか」
転職を考えたとき、多くの人がここで止まります。特に40代は「この歳で環境を変えるのは甘えではないか」と自分を疑う。
僕は20代・30代・40代を通して5回転職しました。その僕の答えを先に書きます。
- *逃げかどうかは、辞める理由では決まりません。行った先で選択肢が増えるかどうかで決まります。**
「逃げ」を気にする人ほど、辞める理由を正当化しようとする
面白いもので、本当に逃げている人はこの悩み方をしません。
悩むのは真面目な人です。だから「人間関係が理由なんて情けない」「もう少し頑張れるはずだ」と考えて、辞める理由を立派なものにしようとします。
キャリアアップ、スキルの幅、市場価値。そういう言葉で説明できないと動いてはいけない気がしてくる。
でも、理由の立派さは、転職の成否とほとんど関係ありません。
僕の最初の転職は、人間関係のストレスと評価されにくい環境が理由でした。立派ではありません。それでも動いてよかったと思っています。
逃げかどうかは、辞める理由では判定できない
判定基準を変えたほうがいいです。
僕がずっと使っているのは、この一点だけです。
- *今の場所にいると、自分の選べる道は増えるのか、減るのか。**
たとえば、その会社独自のルールや作業を10年任され続けたとします。社内では詳しい人として重宝されるかもしれません。でも市場では評価されにくい。気づかないうちに、選択肢が削られています。
これは「今つらいかどうか」とは別の軸です。今が快適でも選択肢が減っている場合はあるし、今つらくても増えている場合もあります。
だから問いはこうなります。
「つらいから辞めたい」ではなく、「ここにいると、5年後の自分は何を選べるのか」
判断の具体的な手順は転職しようか迷ったときの判断基準にまとめました。モヤモヤを言語化する6つの質問も載せています。
40代だから慎重になるべき、は半分だけ正しい
40代の転職は、完全に経歴勝負になります。ここは事実です。
ポテンシャルでは採られません。何をやってきたかで判断されます。だから準備なしで動くと苦戦します。
ただ、裏を返すとこうなります。
- *それまで選択肢が減らないように振る舞えていれば、40代の希望はかなり通ります。**
僕が40代・未経験でコンサル業界に入れたのも、IT業界で積んだ20年以上の経験が土台にあったからです。ゼロから飛び込んだように見えて、実際には持ち込めるものがありました(40代未経験でコンサル転職は可能か)。
慎重になるべきなのは「動くこと」ではなく「準備なしで動くこと」です。ここを混同すると、動けないまま年数だけ過ぎます。
本当に逃げになるのは、環境を変えても同じことが起きるとき
逃げかどうかを見分ける、もうひとつの目安があります。
- *同じ問題が次の職場でも起きるか。**
たとえば人間関係が理由なら、それが特定の相手の問題なのか、自分の関わり方の問題なのか。前者なら環境を変えれば解決します。後者なら、どこへ行っても同じことが起きます。
原因が環境なのか自分なのかで、打ち手が変わります。部署異動や相談で解決するなら、転職はまだ早い。
これを整理しないまま動くと、2年後に同じ理由でまた転職を考えることになります。それが「逃げ」の実態です。
動くと決めても、いきなり辞めなくていい
最後にこれだけ。
僕は最初の転職に、2年近くかかりました。「今よりひどくなったら」という不安で、求人サイトを開いては閉じる日々でした。
背中を押されたのは、先輩の一言です。
「いつでも戻れる場所があると思ったら、気が楽になった」
不安が消えたわけではありません。ただ、退路を確保すると動けるようになるというのは、その後も実感しています。
転職サイトに登録する。職務経歴書を書いてみる。話だけ聞いてみる。どれも辞める決断ではありません。選択肢を1つ増やすだけです。
そして選択肢が増えると、今の会社の見え方まで変わります。「ここしかない」が「ここでもいい」に変わる。それだけで月曜の朝は軽くなります。
まとめ
逃げかどうかは、辞める理由の立派さでは決まらない。
判断軸は「今の場所で、選択肢が増えるか減るか」の一点。
40代で慎重になるべきなのは、動くことではなく準備なしで動くこと。
同じ問題が次でも起きるなら、それは環境ではなく自分の問題。
あなたが今の場所にいて、5年後に選べる道は増えていますか。それとも減っていますか。

